絶望の先に見えるもの

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今まで人生に大きな挫折や失敗がなかった。

それは、大して成し遂げたい目標がなかったからであり、失敗することを避けてきたからだと思う。

一般的な大学に進学し、企業に就職をした。そして、これから先も定年まで働き続けるのだと本気で思っていた。

それが幸せかどうかすら考えることなく、ただ目の前にある日常を享受しているだけの日々だった。

しかし、就職してからの3年間、本当に体調が優れなかった。

大病ではないものの、原因不明の病気に何度も罹った。原因がわからないからこそ、病気になるたびに医師からは「難病の可能性もある」と言われていた。

結果的に難病ではなかったものの、その時に味わった恐怖は今でも忘れられない。

そして、治療を続けてもなかなか改善しない日々の中で、自分という命が簡単になくなってしまうかもしれないという不安と恐怖を体験した。

本当に死が近くにあるような気分だった。

それから今も一つの病気の治療を続けているが、あの時に味わった絶望を知っているからこそ、そこにもう一度落ちないように、今できることを全力で楽しみ、たくさんの経験をしようと思えている。

もちろん病気を完全に防ぐことはできない。

それでも、自分の人生を生き、満足できる毎日を送れたなら、精神的に追い詰められてしまうことは少なくなるのではないかと思う。

「人生に無駄なことはない」とよく言われる。

以前は綺麗事のようにも聞こえたが、今はその言葉の意味が少し分かる気がする。

どんな経験も、それ自体に意味があるわけではない。しかし、その経験を無駄にしない生き方はできる。

だからこそ、過去にとらわれるのではなく、今を大切に生きたい。

絶望の先に見えたのは、大きな希望ではなく、「今この瞬間の尊さ」だったのかもしれない。

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